ショルダーフレクションテストと同時に行いたい評価
ショルダーフレクションテストを行う際に、壁際に立った状態でのアライメント評価を同時に行うことで姿勢の評価の精度を上げることができます。
また、上記のアライメント評価で腰椎伸展が見られる場合は、腰椎伸展の代償を起こさない状態でも動作の評価を行うことで肩や胸郭のモビリティをより正確に判断することが可能になります。
壁際でのアライメント評価
この評価でわかること:腰椎や胸椎、頚椎など脊柱のアライメント
・胸椎、後頭部、お尻が壁に触れているか
・腰椎と壁の間の空間がどのくらいあるか
評価方法
- 壁際に踵を近づけ、背中をつけるように自然に立ってもらう。踵はできるだけ壁に近づけるが、お尻の筋肉が厚い方の場合少し離しても良い。
- 矢状面から、体のどの部分が壁についているかチェック。理想的な姿勢の場合、後頭部・胸椎()・お尻が壁についている。
- 腰椎と壁の空間をチェック。手のひらがギリギリ入るか入らないかくらいの空間。

よく見られる代償
・腰椎の間に掌が1枚以上入る→腰椎の過剰な前湾、骨盤の前傾、リブフレアなど肋骨の外旋。本来は掌がギリギリ入るか入らないかくらいかぐらいの空間。
・後頭部が離れている→フォワードヘッド、胸椎の後弯

腰椎と壁の空間が掌1枚分以上、胸椎が壁から離れる

後頭部が壁につかない
ショルダーフレクションテストで手が壁につかない原因を明確にする方法
腰椎の伸展がある方や、動作中に腰椎伸展の代償動作が起きる方の場合、たとえ手を壁につけることができても本来の正しいアライメントではいため、肩や胸郭のモビリティの正確な判断が難しくなります。
腰椎を伸展させない本来の正しいアライメントの状態で再度動作を行い、同じように壁に手がつくかどうか評価を行うことで、正しい判断ができます。

ただし、その場合でも一度はクライアントの一度自然な姿勢の状態でテストを行ってから、その後で腰椎を代償しない状態で再度テストを行うようにして下さい。
評価方法
- 壁と腰椎の空間を近づけてもらうようにして、腰椎が伸展しないようにする。
- なるべくその状態を保ったまま再度動作を行ってもらう。
上記のやり方で再度測定を行うことで、肩や胸郭のモビリティが低下しているかどうか正確に判断することができます。
その結果で以下の判断のように判断できます。
腰椎伸展の代償を起こさずに改めテストを行った結果、
A:手は壁につく→肩や胸郭のモビリティには問題がなく、体幹のスタビリティ低下が考えられる
B:手が壁につかない→肩や胸郭のモビリティ低下が考えられる
このテストで手が壁につかない場合で動作中に腰椎が伸展してしまう場合は、体幹のスタビリティ低下・肩や胸郭のモビリティ低下の両方が考えられます。

実際に、腰椎伸展と肋骨の外旋、肩や胸郭のモビリティ不足は同時に起こりやすい問題でもあります。
両方にアプローチしなければいけないケースも多くあると思って下さい。